「ジャンボにんにくが苦かった!」
「普通のにんにくと味が違う」
「旨味は少なく苦味を強く感じる」
そんな疑問を持つ人は多いです。
実は、ジャンボにんにくの“苦さ”には明確な理由があります。
適切な調理をすれば甘くホクホクに仕上がる野菜です。
この記事では、
- ジャンボにんにくが苦くなる原因
- 成長段階による味の違い
- 苦味を抑える調理法
これらをわかりやすく解説します。
ジャンボにんにくは「にんにく」ではない?苦味の原因を理解するための基礎知識
ジャンボにんにくは、見た目はにんにくそっくりですが、学術的にはリーキ(西洋ネギ)系の仲間で、普通のにんにくとは別種の作物です。
普通のにんにく:Allium sativum
ジャンボにんにく:Allium ampeloprasum var. ampeloprasum
リーキがAllium ampeloprasum var. porrumなので、学名からジャンボにんにくがリーキに近い野菜であるということがわかります。
この違いが、香りの弱さや苦味の出やすさにつながります。
にんにくよりネギに近い性質をもっているのです。
ジャンボにんにくが苦い理由を徹底考察
いろんな角度から、ジャンボニンニクの苦みについて考えてみました。
若採り(早どり)でアリインが多いと“刺激系の苦味”が出やすい
ジャンボにんにくは、成長段階が若いほど「アリイン(にんにくの前駆体成分)」や硫黄化合物が多く含まれています。
これらは細胞が壊れることで、ツンとした辛味・苦味に変化します。
育ちすぎ(完熟しすぎ)ると“えぐみ系の苦味”が出る
逆に、ジャンボにんにくが大きく育ちすぎると、今度は別の苦味が出てきます。
劣化による苦みです。デンプンが変質してえぐみが増したり、繊維質が強くなり青臭さが出ます。
熟しすぎたネギや玉ねぎが苦いのと同じ構造です。
芽が伸び始めていると苦味成分が増える
芽の部分ではピラジン類アルカロイド系の微量成分など、苦味の原因となる物質が生成されやすいとされています。
収穫後に時間が経つと苦味が出やすくなる
水分が抜けると苦み成分が濃縮されます。
収穫したてのジャンボにんにくは水分が多いです。
時間が経つと水分が抜け、スルフィド類チオール類などの苦味・えぐ味を持つ硫黄化合物が相対的に濃くなります。
このため、苦みを感じやすくなることがあります。
緑化の反応が進むと、苦味副産物が増える
保存期間が長いと、光や温度差の影響で葉緑素(クロロフィル)+苦味スルフィド類が生成されやすくなります。
緑化自体は無害ですが、緑化と同時に苦味化合物も増えることが確認されています。
低温保存でストレス反応が起こることでも緑化は起こり得ます。
ジャンボにんにくは水分が多いぶん、保存状態が悪いと傷みが早く、繊維が劣化すると苦味やえぐみを感じることがあります。乾燥した風通しのよい場所で保存し、湿気や直射日光を避けることが大切です。
切ってから放置すると雑味・えぐ味が出る
“切った後に成分が変質して苦味・えぐ味へ変化する”という現象が起こります。
ジャンボにんにくを切ってから空気に長時間触れさせると酸化や酵素反応が進み、苦味やえぐみが目立つことがあります
加熱不足で硫黄化合物が完全に飛ばず、苦味が残る
ジャンボにんにくは普通のにんにくより粒が大きいため、中心部に火が通りにくいです。
- フライパンでサッと炒めただけ
- 厚切りにして十分に火が通らない
- 外側が焦げて中が生
このような状態では、苦味成分の硫黄化合物が残り、食べたときに「苦い」と感じます。
焼きすぎ・炒めすぎによる焦げの苦味
ジャンボにんにくに含まれる糖分が焦げたり、繊維が過度に加熱される と、苦味を感じやすくなります。
特にスライスしたものを高温の油で揚げ焼きにした場合、表面だけ先に焦げて苦くなるケースが多いです。
ジャンボにんにくの苦味を消す・おいしく食べるための調理法
ジャンボにんにくは、正しく調理すればとても甘くて食べやすい食材です。
苦味を抑えるコツを紹介します。
低温でじっくり火を通す
120〜150℃の低温で30〜40分かけてゆっくり加熱することで、内部のデンプンが糖化し、苦味が消えて甘みが引き出されます。
海外では丸ごとローストが一般的です。
焼き芋と同じ原理ですね。
フライパンで焼く場合は、高温で一気に焼くと焦げやすく苦味の原因になります。
油をひいたフライパンで弱火でゆっくり焼き、じっくりと熱を入れる と、ホクホクした食感と甘みが引き立ちます。
酸化させない、酵素反応をさせない
ジャンボニンニクの苦みやえぐ味を出さないため、酸化や酵素反応が進まないよう気をつけましょう。
切ったらすぐ調理する(放置しない)こと。これが最重要です。刻んで長時間置くと確実に雑味が出ます。
また、極力空気に触れさせないよう、ラップ・密閉・油をかけるなどで酸化を防ぎましょう。
早めに加熱する。加熱すると酵素反応が止まり、苦味が出にくいです。
スライスして短時間だけ水にさらす
硫黄化合物など、苦味やえぐみの原因成分の一部は水に溶けます。
そのため、ジャンボニンニクをスライスして5〜10分ほど水にさらすと苦味が軽減します。
※ 長時間さらすと栄養が過度に流れるため“短時間”がポイントです。
緑の部分を取り除く
芽には苦味の原因成分が集中します。
芽の部分は苦味が出やすいので、切ったときに中心部が緑がかっていたら取り除きましょう。
ジャンボにんにくの表面が緑の場合も、削ったほうが苦みが減ります。
毒ではないので食べても大丈夫です。
生ではなく加熱料理で使う
ジャンボにんにくは生食だと青臭さや苦味がとても強いです。
生野菜サラダはおすすめできません。
炒める・焼く・揚げる・煮るなど、加熱調理をメインにすると食べやすくなります。
油と合わせて調理する
硫黄化合物は油と合わさると刺激が和らぎます。
なので、オリーブオイル炒めやバター焼き、コンフィ(油で煮る)などの調理で苦味は激減します。
スープや煮込み料理に使うと甘みが引き立つ
さっと煮ただけではなかなか苦みが消えませんが、長時間煮込むと苦味成分が分解され、ホクホクした甘みが強くなります。
シチュー、カレー、ポタージュなど、洋風の煮物が美味しいです。
慣れたら和風の煮込み料理にも取り入れてみてください。
まとめ|ジャンボにんにく苦味は減らすことができる。特徴を知っておいしく食べよう
ジャンボにんにくは、若採りでも育ちすぎでも苦味が出てしまいます。
適切に収穫したあとも、保管状況によっては苦くなってしまうことがあります。
緑化や発芽、繊維化が生じている場合は白くみずみずしい部分だけを使用すると良いです。
苦味の原因を理解し、低温ローストや油調理、短時間の水さらしなどの工程を取り入れることで、美味しく食べることができます。
ジャンボにんにくが苦いときに確認すべきチェックリストをどうぞ。
- 中心の芽が育っていないか
- 表面は緑になっていないか
- 加熱温度が高すぎないか
- 一部生ではないか
- 表面が焦げていないか
- 切ってから放置していないか
- 保存状態が悪くなっていないか
今回解説した方法を参考に、ジャンボニンニクをおいしく楽しんでください。
